ツイッターで最初にその報を知って、嘘だろうと思った。
小沢健二、活動再開!
ライブ活動を再開するとお知らせされたのです。
「ひふみよ」サイト小沢健二は大好きな大好きなアーティストでしたが
きれいな思い出として風化して、消化されていたように思っていた。
というか、アルバム「刹那」の中に私の中の小沢健二はあって、
現実にまだ今でも歌おうとしていることに
いろいろなことを感じている。
待っていたか待っていなかったかで言えば「もう」待っていない。
最初の数年は待っていたさそりゃ。
でも13年だよ。待ってるわけないよ。
待っていなかったしその間に私もずいぶん大人になった。
あぁ、なったよ。もう取り返しがつかないくらいに。
大人になったのか、年をとったのか。
端的に言えば、初恋の人が年をとった姿を見たくない、
みたいな気持ちなんだけど、それだけですませたくないというか。
最初は嬉しかったというか
えーマジで?ホントに?へー、昔の曲も歌うの?ほえーどうしよう
とか思ってたんですが、そうでもない気持ちも同時に。
ていうか、いまさらなぁと思ってしまう自分はひどいやつなのか
という気持ちがむくむくと。
いまさら感とあんなに好きだったアーティストに
そんなこと言っちゃいけませんよねという気持ちと両方。
活動再開は本人の自由だし、いつもそうやりたいようにやってきた
人だともう分かっているけれど、
いまさら別にあのころの曲、歌ってほしいと思わないんだけどな、と。
喜ばなくてはいけませんかみたいな気持ち。ひどい。
『LIFE』の後、神懸かったシングル連発した後の
小沢健二がやっていたことを思い出して
いま、どういう歌い方で歌うつもりなのかなとか考えるとさらに。
いろいろ考えてサイト「ひふみよ!」のインタビュー読んで
その違和感がさらにばりばり。
インタビューの聞き手は「うさぎ!」の主人公の少年。
って、当然のように出てるけどいったい誰やねん。
小沢健二が書いてる童話の主人公が聞き手って、
登場人物と対談っておまえ『美味しんぼ』の作家か、とか、
なんじゃこりゃコピペ防止かとか余計なことばかり考えてしまう。
ていうか、こんなに語らなくてよかったのに。
そんなに喋る人じゃ、なかったと思うんだけどな。
あの時代にあえてハッピーに歌ってくれていた、
その歌とあの笑顔が完璧だったからこその喋りだったんだけどな。
「お久しぶりです! 久々に歌ってみたくなりました。
懐かしい曲を歌います。懐かしがるだけじゃなくて、
思い切り、楽しんでいただけたら光栄です」
それだけでよかったんだけどな。
13年という数字は重いよ。
ユニコーンの復活とは違いますよ。
奥田民生はずっと歌い続けて、その根っこにユニコーンを
いつも置いていたというのが分かっていたし。
小沢健二はフリッパーズ・ギターからはじまって
幾度も幾度も過去の自分を否定して、
近年は音楽活動らしいことはされていなくて、
懐かしがったり恋い焦がれたりして探そうとしても、
なんともいえない活動をしてきたわけじゃないですか。
それなのに今になって昔の曲も歌うよと言われても。
ちょっと憤りを交えて書きますが、
13年ぶりの復活、それについて詳しく言えないなら
なんも言わなきゃいいと思うわけですよ。
生きるペースだゆがみだタイガーウッズだと言う必要ないわけ。
で、今のところ全然答えていないわけ。
続編があるからそこで答えていたら訂正しますけれども。
現代は一般の人もイメージ管理に気を遣うとかそこに皆後ろ暗さと違和感を
感じてるとか、そんなものみんな百も分かってる。
そういうことを語るなら、あなたがやってきた、
そして今回のセルフプロデュースによるイメージ管理は一体なんなのかと。
さすがになんかもう騙されるほど若くねぇよと。
ごめんね。
こざかしい知恵ばかりついたけど
それも私の身につけた力でもあるので。
言い出したらきりないことは世の中いくらでもある、
それでも愛を忘れず歌おうよ、今を楽しもうよ、
好きな人を思って嬉しくなる気持ちを忘れずにいようよ、と
歌っていたのが小沢健二じゃなかったでしたか。
たくさん歌って思い切り笑っていたからこそ
言葉に力があった、それを分かってなかったのか。
復活第一弾でいきなり阿部に歌わせるかとか、
復活の挨拶がコレかとか、
おいおいこんなに堂々と晴れやかに歌ってくれるのかとか、
いろいろ考えさせてくれたユニコーンの復活ぶりとは
本当に違いますよと。
小沢健二はずっと好きだったアーティストです。
きっとこれからも曲はカラオケで歌うしCDも聞くと思う。
だけど彼を頭いいなと思ってたのは
クラスで群を抜いて頭のいいやつを見たような頭のよさで、
社会に出て何年も経つとそれもどうでもよくなってしまうよねと、
そう思うくらいこっちもいろいろスレてしまいました。
年とったら年とったなりのものが求められるわけですよ。
本人が望んでいなくても。私も、誰にも。
小沢健二は13年の間、聞き手と一緒には年をとっていないから、
その間の空白がよけい重い。
現時点で分かる情報からは、
彼の成熟度はまだそこから変わっていないんだとしか感じられない。
そこから想像される復活は
なんだかとても残念なイメージしか浮かばないのです。
それが分かるくらいこっちが年とっちゃったんだなと思った。
でもアルバム出たら買うと思う。矛盾してると言われても。